1、ウパルの伝説
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神が世界を創造したとき、
世界を構成するエネルギーを司る守護神を選ぶことにした。
神は地上の生物の中でも特に生命力の強いものにその役割を与え、
彼らは様々な姿で世界に祝福をもたらした。
人々はその力に感謝し、心をこめて、
彼らを「神の贈り物」という意味の「ウパル」と呼んだ。
こうしてウパルが世界を動かすようになった。
最初の7匹は森、地、火、氷、雷、水、風のエネルギーを司った。
遊ぶのが大好きで、幼い子どものように無邪気だった彼らは、
神の思惑どおり、お互いの力を自慢しはじめた。
『モコ』がこの世界にやってくると、全てが凍ってしまった。
その氷を『プルル』が炎の力で溶かした。氷は溶けて水となり、
海が作られた。その海で『デュパー』はのんびりと泳いだ
そうやって、毎日のようにウパルたちが自慢大会をしていると、
炎や日差しが積もって雪や氷を溶かし、海中に波のうねりが生まれた。
ウパルのおかげで世界に天候が生まれ、大地が隆起し、空ができた。
世界は順調に形作られていたが、そのスピードはあまりにも遅かった。
最初にウパルの面倒を見ていた者は、長い時間にうんざりしてしまい、
そのスピードを上げようと、聞いてはいけない質問をしてしまった。
「この中で、最も優れているのは誰ですか?」
こうしてウパルたちの間に初めて嫉妬心が芽生えた。
この質問の答えを出そうと、ウパルたちはこれまで以上に競いだした。
すると予想していなかったことが起こりはじめた。
ウパルたちの頑張りが、世界を壊し始めたのだ。
各地で溶岩が吹き出し、厳しい寒波が人々の命を奪った。
水は枯れ果て、分厚い雲で覆われた空が晴れることはなく、
雷鳴は絶え間なく続いた。
それだけではなく、嫉妬は怠惰を生み出した。
競争に負けたウパルたちが自分の役目を果たさなくなったのだ。
こうして世界はますます混沌へと陥っていった。
世界の混沌に激怒した神は、ウパルたちに天罰を下した。
ウパルを幼い頃の姿に戻し、人生をやり直すように命じたのだ。
また、この事件の原因となった「ルパ」にも同じ天罰を下し、
ウパルが健やかに育つまで、再び長い年月を待つよう命じた。
ウパルたちは輝く石の中に封印され、長い眠りについた。
この世界に戻る日を夢見ながら…
それから果てしない歳月を経て、
ウパルが伝説の存在となった頃、不思議なことが起こりはじめた。
突如として世界中に大きな岩が現れ、いばらが大地をすっぽりと覆い、
人々の住む場所が徐々になくなっていったのだ。
あた冬のあとに夏が来たり、たくさんの氷が混ざった雨が降ったりと
度重なる異常気象が人々を苦しめた。
そんな災難が続く中、ノアという名の人間が神に問いかけた。
「神よ、どうすれば、この試練を乗り越えられるのでしょうか…」
神はこう答えた。
「太古の時代に世界を司っていたウパルたちを呼び起こしなさい。
彼らは幼く、自らの役目を十分に果たせないでしょう。
それでも愛情を持って育てるのです。あなたにこの子を託しましょう」
「はじめまして!僕の名前はルパです」
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